改正祈祷書の理念

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 「ミッション」「ビジョン」「バリュー」について

祈祷書改正は、日本聖公会として行う大きなプロジェクトです。ゆえに、祈祷書改正の理念は日本聖公会全体で、「祈祷書改正というプロジェクト」、「祈祷書改正を行う日本聖公会」の理念として共有される必要があります。

そのために、「ミッション・ビジョン・バリュー」という、企業や団体の存在意義や価値観を共有するために広く用いられている形で、それを表現しています。

ミッション:存在意義・使命

改正祈祷書の存在意義、果たすべき使命とは何かを考えたとき、「多彩」という言葉がキーワードとして浮かび上がりました。よく使われる「多様性」からさらに先に進み、「多彩」は「多様な色を持つ一人一人のいのちが色とりどりに輝く」様を表す言葉だと考えました。改正祈祷書は、このような多彩な命の輝きをもたらすために作成されます。
そして、この祈祷書が21世紀の日本という時と場所に奉仕するものであること、アングリカンの伝統に連なるものであること、この両者も意識化すべきであると考えました。
「ミッション」は、これらをまとめた、いわば「キャッチフレーズ」にあたります。

ビジョン:目指すべき姿

改正祈祷書が目指すべき理想の姿を示すビジョンは、すでに7年間用いてきた「ミッション・ステートメント」(別項参照)から動いているわけではありません。その意味で、「ミッション・ステートメント」をほぼそのままの形で用いています。

 …特に大切だったのは「[Book of Common Prayer (祈祷書) という言葉の] “Common”(共同、共通)とは何か」という問いでした。(中略)
 この点を論じる中で、「ライフ life」というキーワードが浮かび上がってきました。「ライフ」とは「生活」とも「命」とも「人生」とも訳せますが、私たちの間にある“Common”とはこの「ライフ」が生活化され、共有されることではないか、という視点が議論の中で共有されていきました。
 私たちの祈祷書は「日本聖公会祈祷書」と呼ばれますが、この「日本聖公会」を、単なる所属や帰属ではなく、この「ライフ」を共有している共同体のことであると理解すると、ぐっと視点が広がります。洗礼を受けた信徒を核としつつも、「ライフの共有」、すなわち信仰生活を共に送るという過程にある人々や、教会の内外で様々な形での交わりにある方々も、このまなざしの中に含まれてきます。そして、聖公会の交わりにある世界の教会や、さらにはキリスト者全般も、どこかでこの「ライフ」を共有する仲間であるととらえる可能性が出てきます。そして、さらに広くは神に造られ、いのちを与えられたすべての人々とも、この被造世界の中で「ライフ」を共有するものと見ることができます。(中略)
 キリスト者に「なる」ことは洗礼を受けた瞬間に完了するのではなく、生涯をかけて歩む信仰の過程そのものです。「ライフ」を共有するとは、この信仰の旅路を共にし、共に成長していくことでもあります。

「ミッション・ステートメント」について

バリュー:価値観・行動指針

より具体的な行動指針に当たるものがバリュー(価値観)です。
内容は、宣教・神学・実践の3つの観点からなり、作業に当たる上で常に意識化、現実化されていくべき項目と言えます。
改正作業にあたる一人ひとりがこれらのバリューを念頭に置き、作業することで、ミッションとビジョンとが達成されていきます。その意味で、改正祈祷書のあらゆる部分に、これらのバリューが反映されています。